【4期第2回WS】日常生活に活かすための、アンカリング効果の検証

こんにちは。

4期生のいっちーです。4期生として初の活動報告ブログになります。

本日8/21、4期生が運営する初のワークショップを“じゅん”と“いっちー”2人の当番で行いました。以下、実施内容です。

 

【ワークショップのテーマ】
誘導・条件提示による行動傾向を示す「アンカリング効果」の検証を通して、どういった誘導や条件提示が
効果を発揮しやすいのか、あるいはしにくいのかを学ぶ。

 

※「アンカリング効果」とは・・・・

船のアンカー(錨)を由来とする名前であり、その名の通り、“アンカーが下りる”ことでその後の選択や決定の範囲を限定(そのアンカーを基準とした相対的なものとなる)すること。小売店で1000円→700円というような表記がある場合、最初の基準となる1000円が「アンカー」となる。その他にも、コース料理などで、「竹」と「梅」だと半々で分かれるが、「松」がアンカーとして入ることで「竹」を選択する人が多くなる、という例もある。

 

【ワークショップの先に目指したこと・目的】
「アンカリング効果」の基礎と、その効果がどういう状況や条件だと働きやすい・働きにくいかを理解することで、「買い手」「売り手」両方の立場においてより良い判断ができるようになること。

 

【このテーマに至った背景】
元々、僕があるテレビ番組を観ていて数字の影響力というのを体感した出来事もあり、数字が選択行動に与える影響、というものに着目したことがきっかけです。(あるクイズ番組で簡単だと感じる問題があり、自分で答えを予想したんですが、「正答率19%」という数字を見て、急に自信がなくなった、ということがありました。このエピソード自体はアンカリング効果とは異なりますが、テーマ決定の直接的なきっかけになりました)

そこから、「何かしらの決定や買い物をする際、その根拠となるものは内側からの要因(価値観や偏見、先入観など)と外側からの要因(条件提示や誘導)に分けることができる。今回は、外側からの要因に着目し、かつ『数字』という切り口から人の行動に与える影響を探っていこう」となり、アンカリング効果というものに辿り着きました。

 

【実施内容】
午前 ・・・ アンカリング効果とは何か?ということを、実体験と座学によって学ぶ

午後 ・・・ アンカリング効果が作用するかどうか、より強く作用する条件はどういったことか、を検証する

というように、午前と午後で目的を区切りました。

 

【午前の振り返り】
アンカリング効果を塾生に体験してもらうにあたって、クイズ形式のゲームを4題用意しました。クイズを行ってもらうにあたっては、「塾生の常識・知識・判断基準をチェックします」というように仮のテーマを設定しました。

以下に、午前のクイズ内容をスライドに落としました。

 

■午前に行った体験ゲームでのそれぞれのねらい

(体験ゲーム1)
提示された「根拠のない数字」に影響される体験
→全く根拠のない数字でも影響を与えるという有名な実験結果があったため

(体験ゲーム2)
提示されたものではない数字(各自によるもの)でも影響される体験
→ゲーム1の発展形として、自分の誕生日という各自による数字でも影響するか

(体験ゲーム3)
注意していても、アンカーとなる数字に影響される体験
→影響されないように注意しても影響されてしまうかどうか

(体験ゲーム4)
自分でアンカーを設定してしまう体験
→最初の採点を「アンカー」として設定し、以後はその数字に縛られるかどうか

ということで実施しました。が、塾生は「自分の判断基準」をしっかり持っている人が多いようで、予想していたよりも「アンカーとなる数字」に影響されませんでした。

結果も見ながら意見を出してもらいましたが、「なんとなくこれくらいじゃないか」というように知識や感覚として持っている題材になるほど、「アンカーとなる数字」の影響力は薄い、ということが明らかに。

ただ、「ゲーム1の設問3」が、イタリア人女性の「ワイン好き」率といったように自分自身の感覚では全くアテが見えないような問題であれば影響されるのでは?という意見が出ました。

ゲーム4についても写真のチョイスでもう少し結果が変わったのでは、という意見も出ました。

 

■座学で学ぶ、アンカリング効果
その後は、「アンカリング効果とは?」の基本的なところを座学形式でレクチャー。塾生からも「これもアンカリング効果だよね」という意見を出してもらいました。やっぱり、小売店では、アンカリング効果を使ったことがあるようです。そして、これまで行ったゲームのまとめや宿題の結果(宿題では、ゲーム1と近い内容を行いました)を見ながら、「なんでそういう判断をしたの?」といった意見を出してもらいました。

やはり、「自分では判断できない」「身近ではない」という設問ほど、「アンカーとなる数字」に影響されやすいということが見えてきました。

※あとは、塾生の傾向として平均よりも「自分を持っている」人が多い、ということも要素として大きかったと感じています。

 

【午後の振り返り】
午後からは、1期生オペロンさん・2期生トモさんも参加。

 

午後は、アンカリング効果が作用するかどうか・アンカリング効果を強めるような条件はどんなことか、という視点で4つの検証ゲームを実施。各テーマごとに、実験チームとディスカッションチームで分かれ、それぞれで検証・議論を行い、その後合流して互いの意見・結果を共有する、という流れで実施しました。

会議室を2つ3つ同時に使うような形で行ったので、慌ただしかった部分もありました。

 

■検証1:「アンカリング効果は上書きされるのか?」
→自分が設定したアンカーが、他の人のアンカーに“上書き”されるかどうか。

(実施内容)
・風景写真が5枚順番に表示され、その写真をある基準(美しさ)にもとづき採点(上限100点)
・最初の採点後、各自に採点の理由を聞く
・採点結果は貼り出すため、他の人の採点を知ることができる
※実は、「仕込み役」が2人交じっていて、1枚目はわざと低い点数をつけた
・2枚目以降の採点が、どれくらい「仕込み役」に引きずられてしまうのか?

※M-1や文化祭の仮装コンテストのような採点種目における審査員の状況を想定
トップバッターの採点は「基準」とするケースが多い。

(仮説)
自分自身の基準で採点し、最初のアンカー設定を行ったとしても、他の人のアンカーがより印象的であれば、他の人の基準値に2回目以降合わせていくのではないか

(結果)
・仮説通りの実験結果は出なかった。

(出てきた意見・改善案)
・“判断基準”が人によって違う中で、他の人の“判断基準”に納得できれば基準は参考にするが、点数までは気にしない。
・自分以外が皆、自分と逆のような採点が続くのであれば変わってくるかもしれない
・今回のように5回だけでは影響は出ないのでは

 

■検証2:「アンカー設定の限度はあるのか?(ふっかければふっかけほどよいのか?)」
→特に経済活動においては、「アンカー=ふっかけ」と置き換えることができるが、

ふっかける金額が上がれば、買っても良いと思う金額も際限なく上がるのか?また、モノとしてある商品とモノとしてないサービスでは違いはあるのか?

(実施内容)
・Aグループには、「観光地にあるような携帯ストラップ」について、提示金額を一人ずつ変え、いくらで買うかを答えてもらう(1,000円・5,000円・10,000円・100,000円、1,000,000円)
・Bグループには、「その筋では有名な占い」について、提示金額を一人ずつ変え、いくらで買うかを答えてもらう(1,000円・5,000円・10,000円・100,000円、1,000,000円)

(仮説)
・ふっかければふっかけるほど、買っても良いと思う金額は上がる
・モノとしてないサービスの方が、モノとしてある商品よりも金額は上がる

(結果)
・ふっかける金額が上がっても、それほど数字に変化は出なかった

(出てきた意見・改善案)
・ストラップも占いも、「なんとなくの相場」がイメージできてしまう
・大量生産できないもの(絵画など)や化粧品など、“本当の価値”がイメージできないものであれば、ふっかけは効果的なのでは
・一方で、相場感を把握して、それより少し高い価格であれば効果的な可能性もある
(今回の占いであれば、3000円くらいが相場で、5000円の提示は有効かも)

 

■検証3:「アンカー設定をする人によって効果の強弱はあるのか?」

(実施内容)
・グループを2つに分け、同じ自動車の写真を見て、「その自動車がいくらなのか?」をグループごとに結論を出してもらう
・それぞれには仕込み役が存在。共に仕込み役が「これは1000万円だ」と議論の最初にアンカー設定を行う(片方は、自動車に詳しい大塚さんがしっかりした知識をもとに話し、もう片方はオペロンさんが「なんとなく」の感覚で)

(仮説)
・アンカー設定する人によって、アンカリング効果は強まる

(結果)
・大塚さんがいたチーム →アンカー1000万円から1800万円の結論に
・オペロンさんがいたチーム →→アンカー1000万円から1000万円の結論に
・オペロンさんがいたチームは、反対に誰も車に詳しくなく、結果、「じゃあなんとなくそれくらいかな」ということでまとまった

(出てきた意見・改善案)
・大塚さんがいたチームには、もう一人、車に詳しい“いのっつ”がいた。本当に正確に行うなら、事前の情報収集も行う必要がある(とはいえ、その中で大塚さんがうまく誘導し、最初のアンカーとは離れたが、誘導はできた。基本的に自分の軸を曲げない“タンジ”が見事に影響された=自分で判断基準を持っていないため)
・自分で判斷できないジャンルであれば、効果はあるだろう

 

■検証4:「時間的・心理的状況でアンカリング効果の強弱は変わるのか?」

(実施内容)
・午前の体験ゲーム2と似た形式で2問実施。
・ただし、回答時間は30秒と20秒だけ。

(仮説)
・考える時間が少ないことで、アンカーの数字に影響される

(結果)
・アンカーの数字にはほとんど影響しなかった

(出てきた意見・改善案)
・時間が短すぎることで、「自分なりの価値観」を基に即座に回答、結果的にアンカリング効果は作用しなかった
・問題の作り方でアンカー設定がうまくできていなかった部分もあった
・ワゴンセールと店全体でのセールでは、同じ値段だとしても心理的に、店全体でセールしている方を選ぶだろう
・住まい選びの際、時間制限はよく使われる手法では(「同じ日に内覧が・・・」など)

 

【全体振り返り(WSの内容について)】
今回の結果も考慮して当初の目的である「日常生活に活かす」と考えると、「ふっかけに引っかからないよう、いろんなものに関心を持つ」ということが買い手の立場でできることだろう、という意見も出ました。確かに、「自分が知っていること・判斷できること」においては、あまりアンカリング効果が現れなかった、ということは見えてきました。

また、最後の振り返りで大塚さんから「求めるものが決まっている人へのアンカー設定と求めるものが決まっていない人へのアンカー設定は使い分けがあるよね」というコメントをいただきました。アンカリング効果の現実を知った上で、どのように活用するか、という次のステップで考えるヒントにはなったのではないか、と思います。

とはいえ、午後の検証パートで、準備と想定が足りていないことが多く出てしまったことが、本日最大の反省点です。仮説が立証されなかったことは問題ではなく、逆の結果が出る事態に備えて、それに対して話題を展開する素材をしっかり用意しておけば、もっと身のある検証時間になったのでは、と思いました。もっと事前アンケート(当番2人で事前に集めていた)も活用する方法があっただろうし、午後の組み立ては、違ったやりようがあったと思います。

 

【WS準備・運営を通じて】
この一ヶ月半、本当にあっという間でした。何も目的がないところから、皆が納得してくれるであろう目的を探り出し(自分たちが「これがやりたい!」というのが前提ですが)、実現するための手法を探り、人の動きやスライドに落としていく・・。アタマでは分かっていたけれど、本当に「無」から作り出していく経験でした。課題があればそれに対する回答を考えるだけのところを、課題から考えていく。慣れていない思考回路なので、苦戦しました。また、今回の準備を通じて、「抽象化←→具体化」の切り替えが明らかに欠けていた、ということが見えてきました。

まとめると、

・自分が興味のあることを洗い出すことができた

・自分の考え方で足りない点(具体と抽象の切り替え)が明らかになった

・課題から考えていく経験ができた

 

本当に気付きの多かった一ヶ月半です。仕事も並行する中で、これだけぎっしり詰まった時間を過ごしたというのは、貴重な経験でした。

 

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