Archive for 9月, 2009

特別ワークショップ 『ディズニーランドのすごいところ』レポート2

9月 27th, 2009

レポート1からの続きです。

■ ディズニーランドへの思い入れの強い人を採用しているからか?

キャストのモチベーションが高いのは、ディズニーランドというエンタメ産業(=憧れ産業:by ウガワさん)だからこその部分はあると思います。
キャストのトレーニング時に、心構えとして、夢の国での役割を演じることが大切と説明しているそうなのですが、これはストーリー性のある世界観を持つ、ディズニーだからこそできることです。

また、キャストを志望する人の多くは20代前半と思われますが、彼らは小さい頃からディズニーのお話を聞いたり、修学旅行などで行ってみたり、日曜の王様のブランチでの『ディズニーナビ』(2003年1月開始)を見ていたりと、キャストを志す時点で思い入れがあったのは大きいと思います。
(余談ですが、僕がディズニーに思い入れがあまりないのは、小さい頃はディズニーの絵本で育っていなく、30才になるまで関西で過ごしたので王様のブランチを見てなかったりと、これまで接触する機会がなかったためかもしれません)

このように思い入れを持ってもらいやすいという面はありますが、ディズニーランドも開業当時は当然、まだ歴史も無く、そこまでブランド化されてはいないので、最初からキャストの質が押し並べて高かったワケではなかったようです。

『ディズニーランドの経済学』によると開業後1年くらいの様子として、キャストの慣れからくる問題を、「ガイド口調や笑顔を見せずにチケットを切る」など事例を挙げて指摘しています。(P.121:陳腐化との戦い)

つまり、キャストのホスピタリティの高さは、ディズニーランドへの思い入れの高い人を採用している面もありますが、そのキャストも元お客さんだった人が多いワケです。
そんな彼らの思い入れを生み出すようなクオリティも、最初から完全であったワケではなく、少しずつ継続して、サービスレベルを高めていったからこその結果だと思えます。 
  
 
■ キャストたちが意欲的に働き、ホスピタリティを発揮できる、一番の要因は何か?

ディズニーランドのストーリー性や、それに対する思い入れもありますが、一番の要因はなんでしょうか?
それは、3つの要因があると思います。

ひとつは、マニュアル化が徹底されていることです。
よく「お客さまの立場にたって、考えよ」というような抽象的な表現ではなく、各職場のキャストごとに、実務に沿った具体的な指示になっているようです。
これにより、各キャストは短期間で、キャストを演じられることができます。

ちなみに、このマニュアルは、アメリカのディズニーランドで、最初から成文化されたものがあったのではなく、多くはそれまで暗黙知的だったものを日本に導入する際に、かなりの部分をマニュアル化したそうです。
『ディズニーランドの経済学』(P.74より)
さらに、現在では日本で作られたマニュアルを基準として、世界で使われているという話も聞きました。(by カッチュー)

もうひとつは、その仕事ぶりを認められる仕組みになっていることだと思います。
『スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート』、『ファイブスタープログラム』など、アルバイトにも評価・表彰制度がしっかりあることです。

『表彰制度』:キャスト特典|東京ディズニーリゾート キャスティングセンター

また、『オリジナルイベント』の項目に見られる、社内イベントや社内報(リゾートポスト、リゾートチャンネル)による、働いている人同士の相互理解を促している部分も大きいと思います。
 
 
ここまでであれば、マクドナルドでもあることだと思います。
マニュアル化、表彰制度とともに最も大事なもの、それは、『現場スタッフへの権限譲渡、エンパワーメント』の部分です。

具体的事例を見てみましょう。

例えば、塾長やたつ兄、サヨが書いていた、花びらや雨水で絵を描くことは、現場スタッフから生まれたものだそうで、これは各自練習をして、仲間同士でゲストの前で描いても良いかのチェックもあるそうです。
こういったことがちゃんと業務に取り込まれているのは、現場スタッフの判断に任せているからでしょう。(トヨタ流に言えば、カイゼンがアルバイトにも浸透しているとも言える)

また、『ディズニーランド流心理学 「人とお金が集まる」からくり』では、キャストが自己責任において、ビッグサンダーマウンテンに車椅子の人を乗せるくだりが紹介されています。(P.215)

そのゲストは、何が起きても自分の責任だから乗せてほしいと懇願し、キャストはゲストを乗り場まで背負い、安全を再確認し、出口でゲストを待ちかまえました。
結果的に、ゲストは足が踏ん張れないために、擦り傷を負ってしまうのですが、キャストに大変な感謝をしたそうです。

このことはマニュアル違反となることで、通常であれば、叱責されるところですが、逆に社内報を通じて、その勇気を称えられたそうです。

と、イイ話ダナー、で終わるのではなく、ちょっと考えてみてください。
叱責しなかったこと、この判断だけでも通常、考えられないことですが、その後の社内報での評価の方です。

マニュアル化された組織の上で、マニュアルから逸脱している行為を称えているワケで、今後のことを考えれば(マニュアルって何のため?とか、キャストの自己責任で同様の行為を行い、もっと事故につながることも)、そこまでするのは、ありえないでしょう。
おそらく、ゲストの障害の程度やその他の状況も踏まえた上で紹介されたと思いますが、なぜ、これができたかと言うと、マネジメント層のキャストたちへの信頼があり、同時にキャストたちの方でも、それを理解して、間違った解釈をしないという関係性ができているからこそだと思います。  
 
 
■ まとめ
『マニュアル化』・『評価制度』・『権限譲渡』、この3つすべてあることが、ディズニーランドで、キャストたちが意欲的に働き、ホスピタリティを発揮できる理由だと思います。

特に『エンパワーメント、権限譲渡』、言葉にするのは簡単ですが、それを組織に反映していくのは、簡単なことではありません。マニュアルや表彰制度は、一度作れば、形として残りますが、権限譲渡は、その都度判断が求められることですし、持続的に行わなければ組織に浸透しません。
開業当時からの継続的な風土作り、教育制度などのマネジメントが素晴らしいと思います。

そういう意味では僕にとって、ディズニーランドというより、オリエンタルランドがすごいと思えた、特別ワークショップでした。

特別ワークショップ 『ディズニーランドのすごいところ』レポート1

9月 27th, 2009

事務局の藤田です。

今回のレポート、どうにも自分の中ではしっくりこない部分があり、まとめ方を迷ってました。
 
 
■ 読んだ本

『ディズニーランド流心理学 「人とお金が集まる」からくり』 山田 眞

紹介されていた具体事例の中から、自分がピックアップしたもの。

・セイル・アウェイに一緒に出演するために、ディズニーアカデミーにおいて、演技指導まですること
・永遠に成長を続ける、アトラクションひとつにしても常に改良が重ねられている
・待たせる時間さえも、エンターテインメント化させる仕組み
・「夜でしか見れない」「夜にしか、その価値を味わえない」エレクトリカルパレード
・おみやげとして、それぞれの物語に出てくるものを売っている
・子供のゲストと話す時に、ひざまずいて応対させることの研修方法
・カストーディアルの掃除方法のパフォーマンス化

これらを踏まえて、すごいと思った点。

1.あらゆる場面で「神は細部に宿る」ことを徹底させている
2.サービスレベルを継続的に提供できる仕組み作り
3.キャストにルールを教えるのではなく、理念を理解させて、考えさせている
 
 
■ 実際に行ってみて

僕は東京ディズニーランドがはじめてだったので、かなり期待してました。
で、実際に行ってきた感想としては、ひとつひとつのサービス内容に感心はするのですが、それ以上でも以下でもなかった、と言いますか。
ナベが書いていたように思い入れがあまりないのは、まあ、そうですし、感受性が悪いと言われれば、そうかもしれません。

ただ、思い入れがないのであれば、

『なぜ、そこまでキャストが意欲的に働き、ホスピタリティを発揮することができるのか?』、

その理由について、フラットに考えることができます。
 
 
■ 面積に対するキャストの人数が多いから、十分なケアができるのか?

ナベが指摘していた、『それ以上にキャストが多いことで、気づくことや対応できる部分が多いってこともあるんじゃないかな?』という部分。

これは確かにそうで、少人数でやっていては、ホスピタリティの質を上げられても、量をカバーすることができません。手が届かないところがあれば、ゲストは気づいてもらえないこととなり、サービスに不満を持つことにもなります。
そこで、いったいどれくらいの密度でキャストがいるのかを出してみます。

『カストーディアルと呼ばれるそうじ係は園内に約六百人。五人ごとのチームを作り、一チームが約二ヘクタールを担当、十五分で一周し、二時間ごと十五分の休憩をする。この方式で絶え間なくゴミを拾うだけでなく、園内八百六十ヵ所のゴミ箱自身もみがきあげる。』(ディズニーランドの経済学/P.83より)

上記は開業当初の本なので(1987年2月出版)、ちょっとデータは古いですが、ここからカストーディアル1人当たりの担当面積を出してみます。

【カストーディアル1人当たりの担当面積の出し方】

園内に約600人で、5人ごとのチームなら、約120チームがいることになる。
15分で1周し、2時間ごとに15分の休憩ということは、園内を8周して1回休憩となり、
8/9のチーム、約106チームが常時、回っているということになる。

1チームが約2ヘクタール担当ならば(20,000m2=100m×200m、約6,060坪)、
1人あたりの担当面積は、4,000m2(40m×100m、約1,212坪)となるが、
46ヘクタール(オープン当初の面積:現在は51ヘクタール)を2ヘクタールで割ると、23チームだけ園内に出ていれば良いこととなる。

これは完全に2ヘクタールごとに、1チームのみが担当しているワケではなく、
時間差で出発して、重複している部分があると考え、重複度合を見てみる。

常時、約106チームが回っているのであれば、2ヘクタールあたりの重複は、
106チーム/23チーム=約4.6チーム、約23人となり、
1人あたりの担当面積は、20,000m2/23=約870m2(30m×29m、263.6坪)となる。
(全面積のうち、アトラクションもあるので、実際はこれの半分くらいか?)

この30m×29mというのは、なんとなく納得できる広さに思えます。
だいたい、片側2車線ずつの交差点より、少し大きいくらいの広さに相当し、これくらいであれば、カストーディアル同士の認識ができ、また、たつ兄の書いていた、ポップコーンを3分で掃除するのもワケはないでしょう。

ただし、これを行うにはナベの指摘どおり、カストーディアルだけでも1時間につき、63万円のバイト料が必要になるのですが。(現在のバイト料、時給:1,050円で計算)

また、この密度でカストーディアルがいることによる、副次的効果の方も大きいのではないかと思います。
迷子をすぐに発見したり、ゲストに対するケアもそうですが、互いに認識ができるということは、仲間が見てるから頑張ろう、仲間の頑張る姿が見えるから頑張ろうということにつながり、モチベーションが高くなる理由になるのではないでしょうか。
 
 
■ キャストの時給が高いから、意欲的に働くことができるのか?

『ディズニーランド流心理学 「人とお金が集まる」からくり』(2002年8月出版)によると、「東京ディズニーランドのアルバイト料も時給八百円から九百五十円までで、滅茶苦茶高いわけではない。」と書かれていますが、現在のキャスト募集のページを見てみると最低時給は1,000円からとなっています。

時給一覧|東京ディズニーリゾート キャスティングセンター

少しづつだとは思いますが、7年間で最低時給が200円も上がったのは、おそらく2001年にディズニーシーが開業して以来、アルバイトを確保するのがこれまで以上に大変になったからでしょうか?
また、時給アップだけでは追い付かないのか、2008年の2月には若い人だけでなく、年齢上限なく募集しています。

TDRのアルバイト面接会/「団塊の世代も積極的に」

時給が高いことによって、募集人数が集まりやすくなったり、継続して働いてもらいやすくはなりますが、少なくともシーができる2001年までは、それほど高かったワケではないので、お金がモチベーションにつながったワケではないと考えられます。

(レポート2に続きます)

【特別WS①】こども目線で見た「ディズニーランドのすごいところ」

9月 18th, 2009

こんにちは、mixbeat1期生のサヨです。
先週9月12日(土)、mixbeat特別WS「ディズニーランドのすごいところ探検隊」に参加しました。

2期生の第2回WSの勝利チームに対するご褒美WSでしたが、1期生も参加して良いと許可をいただいたので、遠慮なく参加。特別WSの概要は以下のとおり。

□事前課題:ディズニーランドに関するビジネス書を最低1冊読み、レポートにまとめる
□当日:個々人でディズニーランドをフィールドワークし、そこで提供されるサービスやホスピタリティを観察する
□事後課題:フィールドワークの結果を活動報告ブログにてレポートする。

 

◆事前課題:ディズニーランドのすごいところは「細部まで徹底した顧客志向」

あたしは事前課題で、「ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法」(ディズニー・インスティチュート著/日本経済新聞社発行)を読みました。

ディズニー・インスティチュートはディズニーの顧客満足度に対する取り組みやそれに付随する人材育成などの仕組みをまとめ、外部企業に対して研修を行っている機関なので、本の内容はディズニーの企業理念からサービス提供の姿勢などが分かりやすく説明してあり、「ディズニー入門書」としていいものだと感じました。

この本からあたしが感じた「ディズニーランドのすごいところ」は、次の3つ。

 

  • 創設者ウォルト・ディズニーの徹底した顧客志向の精神(クオリティ・サービス)
  • クオリティ・サービスが、従業員の間でしっかり共有されており、また設備・品質管理プロセス全てに反映されていること
  • クオリティ・サービスを継続的に実現していくための仕組みが整備されていること

 

とにかくウォルトの「自分のために作ろうとするな。お客様が求めるものを知り、お客様のために作るのだ」という顧客志向が徹底していること、それが細部まで実践されていること、仕組み化して一定以上のクオリティを保っていることがすごい。

顧客志向にホスピタリティ、世の中にあふれかえっているコトバではありますが、ほんとうの意味で達成されているか否かというと、なかなか難しいのが現状だと思うので、余計。
ということで、今回あたしは「ディズニーの顧客志向がどのように実現されているか観察する」をテーマにフィールドワークを行いました。

また、その切り口として「こどもの視点」を意識しました。なぜ「こどもの視点」かというと、自分がちいさいこども(小学校に入る前とか)だったとき、ディズニーランドに連れてきてもらうのがすごくうれしくて楽しかったからです。

当時は身長制限などでたいしてアトラクションには乗れなかったし、今ほど派手なパレードが頻繁にあったわけでもないし、いったい何が楽しかったんだろう?という疑問がふと浮かんだので、「こどもの視点」から観察することで、なにかが見えるのではないかと考えました。
(実は、この切り口を決めたのは、WS当日のランチ兼フィードバックのときに「ヤバさ」を感じてからですが。。。ご愛敬ということでw)

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